二分脊椎症について

現在は、分娩10,000件に6名の発症率とも言われています。
二分脊椎症・神経管閉鎖障害は、葉酸不足(妊娠4週間前から妊娠12週まで1日400µgの葉酸サプリメントを内服すると発生リスクが低くなる(文献*1参照)ことにより妊娠3週頃に神経管がうまく形成されない事が原因の一つと言われています。従って、葉酸情報が掲載されている母子手帳をもらってからでは手遅れであることが懸念されています。是非とも「学校教育の場」で葉酸情報を繰り返し提供していただきたく思います。

文献*1
近藤厚生:二分脊椎の予防指針作成,二分脊椎の病因探索と葉酸システムの研究(No.23163901),厚生労働省科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)総括研究報告書,2012,pp1

 

 

1 神経管閉鎖障害

脳や脊髄などの中枢神経系のもと(神経管)が作られる妊娠の4~5週ごろにおこる先天異常のことを言います。
・神経管の下部に閉鎖障害が発生した場合『二分脊椎』
・神経管の上部で閉鎖障害が発生した場合『無脳症(脳が形成不全となり、流産や死産の割合が高くなります)』
となります。

 

2 二分脊椎症

本来ならば脊椎の管の中にあるべき脊髄が脊椎の外に出て癒着や損傷しているために起こるさまざまな神経障害の状態を言います。主に仙椎、腰椎に発生しますが、稀に胸椎、頚椎にも生じ、その発生部位から下の運動機能と知覚が麻痺し、内臓の機能にも大きく影響を及ぼします。したがって症状の個人差が非常に広いのも特徴で、単純に比較できません。
二分脊椎症は大きく二種類に分かれます。

①顕在性二分脊椎症(開放性)
出生後早急に脳神経外科医による背中の閉鎖手術の必要があります。仙骨・腰椎・胸椎等の損傷場所により、症状には重度から軽度まで個人差はありますが、下肢障害に対しては車いす・補装具等、また排泄障害に対しては導尿、摘便、浣腸、洗腸といった対処が必要となります。

②潜在性二分脊椎症(脂肪腫)
幼児期はあまり症状が見られませんが,成長期(学童期や思春期)になると、脊髄係留症候群の危険があります。腰の部分で癒着した脊髄は身長の伸びについて行けずに引き延ばされ(足や膀胱・直腸に行く神経の機能低下)、転びやすくなったり、尿を漏らすようになるなどの症状が出てくることがあります。

 

3 顕在性二分脊椎症(開放性)における症状と合併症について

顕在性(開放性)二分脊椎症の多くの場合、以下のような合併症(水頭症など)を併発します。
①水頭症:脊髄髄膜瘤の子供では75~80%に生後2~3カ月以内に進行性の水頭症が発生する。
②けいれん:約10%の発生率
③キアリ奇形(キアリ2型奇形)
④股関節脱臼、側彎症、脊髄空洞症
⑤学習障害(発達障害)

 

4 幅広くトータルなケアが必要

 二分脊椎に因る運動機能障害は多岐にわたり、特に下肢の麻痺や変形、膀胱・直腸障害に因る排泄障害が見られ、その為、二分脊椎の治療、医療管理には脳神経外科、小児外科、泌尿器科、整形外科、リハビリテーション科を中心に眼科、皮膚科、内科等を含め、トータルなケアが必要とされています。また、様々な障害の程度があり、各々に合わせた適切な医療、教育、就職、結婚の問題までケースワークが求められています。